パ リのファッションショーはいつも世界中の注目を浴びていますが、19世紀にもフランスのファッションは、エレガンスの象徴として世界の注目の的でた。ジュ モーやゴーチェなどのフレンチ・パリジェンヌドール(ファッションドール)は、19世紀のエレガンス・ファッションを見せてくれる貴重な存在として私たち を楽しませてくれます。そして、ファッションを語る時、必ずと言ってもよいほど出てくる言葉は『エレガンス』
では『エレガンス』とは? フランソワーズ・モレシャンさんからお話を伺いまた。
・・・エレガンスは私の人生で、もっとも大切な要素です。
で も、日本語の『エレガンス』はフランス語のニュアンスと少し違うようです。日本の辞書を引くと、『優雅』『上品』『気品』という単語が並んでいます。もち ろん翻訳として間違いないのでしょうが、この言葉だけでは『お上品で気取っている』というマイナスのニュアンスを感じてしまいませんか。
ちなみに フランス語の辞書を引くと、『外見や内面において、優雅さや自然な余裕によって特徴づけられる資質。例えば、服飾や身振りや住居のエレガンス』 『特に装いにおいて、余裕と控え目を伴う着こなしのセンスの良さ。道徳的に、または知的に特徴づけられる人の資質』とあります。
つまり、 エレガンスはシックな装いをして、おしとやかで、お上品といったイメージだけではありません。おしゃれが自分を表現する手段であるように、エレガ ンスは人の内面から生まれてくるライフ・スタイルであり、人生や精神のあり方。『優雅』『上品』『気品』に加えて、『粋(いき)』『スマート』『さりげな さ』『慎み(控え目)』『余裕』『思いやり』『尊厳』『敬意』『わびさび』『勇気』『優しさ』『愛情』…もっともっとたくさんの好きな言葉が、このエレガ ンスに集約されているのです。私にとってエレガンスは『人間である条件』だと思えます。